昭良参上
あらすじ:その日のトークで、佐渡に昭良が飲ませて鍛え直すと言い出し、おまけにその代金を私が持つといい出したため、惨状を避けるために腰をあげた友貴であった……。
〜:お待ち。まだまだ宵の口だぞ。帰っちゃいや〜ん。
友:な、なんだよ。
庸:また友貴の過去でも公開するんじゃないのか。
〜:惜しいっすよ、庸二の旦那。友ちゃんじゃないの。今日は聖良ちゃんの誕生日だしぃ、ここは昭良兄貴の素敵なお話でも、と。
友:ほ、助かった。そういや、そんなこと言ってたな。
庸:しかし、この話は一部の人には公開してるんだろ?
〜:一部の人でしょ。だから一部じゃない人にも公開するの。
友:手抜きか。
〜:なに。友ちゃんのお話も公開して欲しい?ストックはあるしぃ、構わないけどぉ。
友:いえ、遠慮しときます。
〜:な〜んだ、そう。
庸:こいつさぁ、昔は族だったんだろ?
〜:そうそう。そんで、昭良兄貴がかみさんと出逢うまでの顛末を。
庸:そこまで行ってねぇじゃねぇか。
〜:だから、このお話は全3話ってことよ。三本立て。ちょっと違うか。
友:じゃ、その間俺の話は進まないのか。ほっ。
〜:まぁ、進めたくない訳も分かる。次の話では遂に飛鳥刑事とルシファーちゃんの愛がこ
庸:おい、大丈夫か?……。だめだ、目をさまさねぇや。
昭:なんだ、どうした。もうダウンか、お前らしくもない。これで目を醒ませ。ウォリャー!
友:げ、スピリタスをストレートで。殺す気か。
註:スピリタスとはポーランド産のウォッカで、度数96度。口に入れると悶えます。
〜:ぶほわっ。はぁ、はぁ、な、なんだこれは!
庸:さすが、効くなぁ。
〜:なんの話してたっけ。
友:昭良の。
〜:ああ、そう。昭良兄貴のお話ね。ばりばりの硬派だったんだよね。
庸:最近見ないよなぁ、硬派。
友:確かにいないな、硬派。
〜:で、この物語のヒロインの聖美ちゃん。不幸だよね〜。
友:お前、口説こうとしただろ。
庸:子供だったからやめたけどな。大人びて見えたなぁ。
友:普通は被害者を口説かん。
〜:普通は犯人を口説かん。
友:貴様。
〜:やめて友貴様。で、もう一人のキーパーソンよ。桑原Jr.。
庸:ああ、桑原元市長の。友貴、あのゴルフクラブどうなった?
友:森中市長が探したら見つかったぞ。まだあったんだなぁ。
〜:聞いた話だとものすごい狭い所にあって、かなり本腰入れて探さないと見つかりそうにも無かったって。
庸:じゃ、警察にあるのか。
友:とっくに市長のものだ。拾って1年経った時に持って行った。
〜:なんでゴルフクラブの話してるのさ。いいじゃないか、もうとっくにオークションに出されてるんだから。
友:それは知らなかった……。
〜:で、揃って悪役の桑原親子のの息子の方よ。これが、また不良なんだなぁ、こっちは軟派。
友:庸二みたいなやつか。
庸:俺は違う。
〜:庸二は好色。
庸:俺、友貴の気持ちが少しだけ分かったよ。
〜:よせ、お前は手加減を知らん。ととととにかく。次回ではこの三人が絡み合ってややこしいことに。
友:で、いよいよ俺達の出番ってわけか。
〜:少ないけどね。
友:なんだよ、つまらん。
〜:いいじゃん、ルシファーちゃんとのお話では主役らしく活躍してるんだから、ルシファーちゃんに出番とられがちとはいえ。
友:うるさい。
庸:ところでさ、横でひたすら飲み続けているこの二人。話に入れてやらないからすごいペースだぞ。このままだとこのガキ、死ぬかもな。
友:そう思うならあまり強い酒を出すなよ。
〜:なんだよ、まだボトル2本かぁ。よーし俺も手伝うから目標ボトル10本だぁ。
友:おいおい、まさか……。
庸:夜半を過ぎる前にそのくらい平らげるさ、この二人は……。
友:俺は明日仕事だ、付き合いきれん。今度こそ逃げる。
庸:気づかれる前に行け。勘定はツケでいい。
友:じゃあな。
〜:あれ〜?友ちゃんはぁ!?まいいか。ドライジンお願いねー、ボトルで。
酔って候
〜:また来たぞぅ。
庸:なんだ、ぞろぞろと。
友:警察の前で捕まったんだよ。
庸:刑事が捕まるなよ。
昭:いいじゃねぇか。昔のお返しだよ。
〜:言うな。次回予告まで言うんじゃない。
庸:どうでもいいからオーダーしろ。俺が暇だ。
友:バーボン。
昭:俺も。
〜:おいらはレインボー。
庸:てめぇのそのややこしいカクテルはなんだ。後回しな。失敗しても文句言うなよ。
〜:うひぃ。
友:なんだ、ややこしいのか。
庸:ややこしいよ。見りゃ分かる。
昭:ややこしいといやぁ、お前が言ってた話。ややこしいことになってたよなぁ。
〜:うん。昭良の少年時代の例の事件ね。先週の続き。
庸:どこが先週だか。あっ、ちょっと混ざった。
〜:気にするな。今回は尚也の葬儀からね。
友:そもそも尚也君の死んだ原因自体ややこしいんじゃないか。
昭:まったくだ。それにしても桑原一族は未だに許せんな。
〜:昭良の兄貴、未だに善行のこと脅してるらしいな。
昭:あいつは目を離すとろくなことしねぇ。
庸:お前の執念深さも見上げたもんだよ。お前が関ったのが運の尽きだ。あ、また混ざった。
友:さっきからなにやってるんだよ。
〜:レインボーを作ってるんだよね〜。
庸:ほれ、できたぞ。くそー、てめぇがややこしいもの注文したおかげであんまり喋れなかったぞ。
〜:そうだったっけ?
友:作りながら喋ってたじゃないか。
昭:旦那、色が混ざってるぞ。
庸:余計なお世話だ。
〜:グラデーションっぽくてこれはこれでいいと思うけど。
友:まぁ、あの例の事件でもばらばらだった事象がだんだん絡み合い一つになっていったんだ。
庸:うまいことまとめたな。
〜:まとめるには早すぎるぞ。大体一つになったら意味ないカクテルかと。ああもう、話が進んでないっすよ。
友:一つにまとめると言えば、秋川氏の借金か。
昭:ああ、あいつらもいろいろやってたな。
〜:世の中には整理屋という業者がいてね。多重債務者の借金を一本化してその手数料を貰おうと言う連中なのよ。
庸:聞いたことあるぜ。弁護士とつるんで手数料だけ貰ってドロンするんだよな。
友:まぁ、借金なんかするとろくなことはないな。つけ込まれてダシにされるだけだ。
昭:飛鳥の旦那もローンには苦労したからな。
〜:マイホームだよね。
庸:車もだ。
友:うるさい。車のローンは終わったぞ。
昭:じゃあ家のローンは残ってるのか。
〜:なんの話してるんだよぉ。
庸:確か、土地つき一戸建新築で2世代ローンだったよな。
友:うるさいうるさい。くっそー、ローンのこと考えたら腹が立ってきたぞ。もう一杯飲む。今度はテキーラな。
昭:俺はラム。
〜:おいらは……。
庸:ややこしいの頼むなよ。
〜:マティニーにしときます。
昭:結局俺達はなんの話をしに来たんだ?
友:まぁ、飲みながらの会話なんてこんなもんだということだな。
昭:うまいことまとめたな。
虎の雄叫び
〜:イヤッホー!
庸:おっ、来たな、いつもの懲りない面々が。
友:塀の中か。
昭:塀の中は懲り懲りだ。
〜:嘘つけ、牢名主。
昭:いや、本音だ。やはり俺は一匹狼、子分を作っても嬉しくも何ともない。。
〜:気障。
庸:その割に温かな家庭を築いてやがるのはどういうことだ。
友:独り者のひがみか。
〜:ぐさ。
友:お前じゃない。
〜:お彼岸過ぎてもひがんでないもん!で、夫婦は円満ですかい?
昭:ま、まあな。
〜:けっ。
庸:ひがんでんじゃねぇか。
友:そんなことより注文だ。バーボンをくれ。
昭:テネシーウィスキー。
〜:カンパリオンザロック。
庸:へいへい。今日は手がかからないでいいや。
友:それにしても、これで昭良と聖美のなれそめの話は出尽くしたわけだな。
〜:うん。善行も見納めだねぇ。まだ生きてはいるけどさ。
昭:どうなったんだ、あいつは。
〜:知らん、ぷ〜い。噂を聞かないところをみるとどこかで大人しくしてるんじゃないの。生きてはいるらしい。
庸:奴らしくねぇな。きっと、どこかで風俗の店でもやってるんじゃねぇか?目立たねぇようによ。
友:こういう話になると目が輝き出すな。お前は。
昭:輝くっていうよりぎらぎら光ってるぜ。
友:まぁ、要するにスケベなんだなぁ。
〜:ぎく。
友:お前じゃない。お前もだが。
〜:スケベは善行だい。
昭:まぁ、あれだけ本能のままに行動してる奴ってのも普通はいねぇけどな。
〜:あんなのにからまれて聖美ちゃんも災難だったこと。どうもこの家系は悪い虫がよりやすいのでなかろうか。
庸:なんだ、聖良ちゃんにも悪い虫がついているのか?
佐:何いいいぃぃぃ!?それは本当か!?
〜:ほら、どこからともなく湧いてくるあたり虫そのものじゃないか。
佐:へ?もしかして悪い虫って僕のことかい?ひどいじゃないか。僕のどこが悪い虫だと言うんだい、君は。
〜:アスクユアセルフ。まぁ、聖良ちゃんが喜んでるからいいものの。
佐:まぁ、深森さんに変な悪い虫がついてないと言うのが分かって安心したよ。
〜:あの、ついてはいるんですよ。聞いてる?
佐:おっと、こうしちゃいられない。僕はこう見えても多忙でね。では、アデュー!
〜:……多忙な人間がどうしてここに湧いて出てくるのかを知りたいね。
昭:何だったんだ、今のは。
〜:暇人は放っておこうね。
庸:うーん、確かに変なのが寄って来てるんだな。
友:しかし、聖良ちゃんも聖職者だしなぁ。手も出せんぞ。
昭:出されてたまるか。
〜:友ちゃんは手を出したいの?
友:お前なぁ。
庸:とりあえず、昭良が酔い出したらその手の話はやめとけよ。また店が壊されるから。
昭:もうそんなことはしないって。
〜:そうね。話題をそろそろかえるか。ねぇ、この間修理頼んだスクーター、なんかエンジンの感じがおかしいんだけど。積み替えた?
昭:おうよ、400ccのエンジンにな。
〜:おいら原チャリ免許しかないぞ。
昭:気にするな。見た目じゃバレねぇよ。
〜:音で分かるんじゃないかなぁ。
庸:調子悪いって言えば通るだろ。
友:しかし、お前は本当にバイクいじりが好きだなぁ。最近乗るよりいじってる方が長いだろ。
庸:なんか、野望でもあるのか?
昭:二輪の戦車を作ることか。
友:外国でやれ。
〜:言うとやるぞ。
庸:もしかして店のすみで秀さんとぼそぼそ密談してるのはその打ち合わせか?
友:おいおい……。
〜:ということで、次回『路上の虎〜道路は戦場〜』をお送りしま〜す。なんちゃってぴょいーん☆
庸:それはまずいって。
友:昭良もあんまり派手な改造するなよ。道交法に引っかかるぞ。
昭:なにを!改造は男のロマンだ!法律がなんだ、俺は最高のマシンをこの手で作り出してやるぜ!うおー!
〜:げ、トラだ。